ミンカバウの伝統的な結婚式「Baralek Gadang」

インドネシアの西スマトラ島にルーツを持つミナンカバウ族は、マレーシアの中でも独特な母系社会の慣習を持つ民族です。今回は、Pertubuhan Media Negeri SelangorとGaya Travel Magazineの招待でセランゴール州のベラナン地区でミンカバウの伝統的な結婚式「Baralek Gadang」を取材してきました。

マレーシアのミナンカバウ族はこんな民族

  • 14世紀初頭、インドネシアの西スマトラ州からネグリ・スンビラン州へ移住してきた。
  • 母系社会の文化を持ち、女性が家督を相続する権利を持つ。政治は男性中心。
  • 現在ミナンカバウはマレー人分類であり、独立した民族グループではない。
  • 言語はマレー語であり、インドネシア方言(ネグリ語)を話す。
  • 水牛がシンボルであり、水牛の角を模した被り物や角型屋根の家「ルマ・ガダン」が有名。

結婚式前日の準備

結婚式前日、朝10時から約300人の村人たちが総出で結婚式の準備に取り掛かります。結婚式のメインディッシュはミナンカバウのシンボルである”水牛”。

「水牛は”バッファロー”だから”ビーフ”ではないよ」と説明されて最初は意味がわからなかったのですが、調べてみると水牛は牛とは違う種族のようです。初めて知りました。

屠畜場で処理された水牛を乗せたバンが到着すると、男たちが一斉に肉の部位を分け始めます。その手際の良さに驚きつつ、私も解体を体験させていただきました。

男たちがお肉を捌いている間、女性は野菜や魚介、香辛料の準備。私もじゃがいもと玉ねぎの皮むきをお手伝いしたのですが、ナイフの刃を外側に向けて皮を剥くため、いつもと勝手が違いとても難しい。苦戦しながらもナイフの使い方を丁寧にレクチャーしてもらいました。

食事の準備と同時進行で会場の装飾を作ります。「Bunga Telur(花卵)」は子宝と子孫繁栄の願いが込められた引き出物。マレーシアでは一般的なスーベニアで、お花の飾りにゆで卵が付いています。

会場を華やかに彩る装飾品の「Bunga manggar(ヤシの花)」は、ヤシの花をモチーフにしたセレモニーに欠かせないアイテムです。

参列者1500人の大規模披露宴

ホテルへ戻り、正装に着替え、日が落ちる頃に会場へ戻るとなんと、ピークで1500人もの人が参列。会場のグラウンドは人で埋め尽くされています。

メインステージ上では、子どもたちによる歌やダンス、演奏もあり、さながら浴衣を着て夏祭りにでも来たような感覚になりました。

結婚式前夜祭

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メイン会場に新郎新婦が現れないままイベントが進行していることに違和感を覚え、会場を探すと、小さなテントの下でお雛様のように可愛く座っている新郎新婦を発見。どうやらこの日は結婚式イブのようなイベントで、日本で言うところの1日目が挙式、2日目が披露宴なのかなと思いました。

前夜祭の新郎新婦はマレー系の正装をしていました。母系社会のミナンカバウは母親が一家の主であるために、新郎新婦にしっかりと母親が付き添っているのがとても印象的でした。

結婚式2日目 

前日はマレースタイルの装いだった新郎新婦がお色直しをして一転、ミナンカバウの伝統的な民族衣装で登場しました。きらびやかな民族衣装を身にまとった新郎新婦の姿はまさに現代に生きる伝統だなぁと感じました。ずっと見たかったミナンカバウの文化を目の当たりにして感動のあまり言葉になりませんでした。

会場に到着するとスーベニアを受け取り、みんなで食事をします。この食事は「Makan bajamba」と言い、参加者のステータスに関係なく、一体感を促進するものです。

前日に仕込んだ「バッファロー・ルンダン」がここで登場。

前情報によると水牛の肉はあまり美味しくないとのことでしたが、実際に食べてみるとジューシーで柔らかくて、高級牛肉にも劣らぬ味でとても驚きました。

頬肉のようなほろっとした食感と、ほのかに感じる油の甘みが絶妙なバランス。世界で一番美味しい料理にも選ばれた「ルンダン」と水牛のお肉は絶品でした。

民族の伝統と慣習を守ることが難しくなってきた昨今、こうして守り続けられている伝統を体験することができて光栄の限りでした。

この、Baralek Gadangはミナンカバウの結婚式の伝統表現であり、その地域で世代から世代へと独自に発展してきた伝統を紹介するためのイベントとしても使用されます。

また、結婚した子供たちを周囲のコミュニティに紹介するという意味もあり、結婚する2組のカップルだけでなく、遠い親戚やゲストを大勢招き、周囲にいる人々にも喜びを共有するフェスティバルでした。

かりわめぐみサイト制作・運営、動画制作、カメラマン、ライター

投稿者プロフィール

マレーシア生活 5年目突入。コロナ中は引きこもりだったので2022年はまたたくさん旅行できるといいな。

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